喜べない褒めことば

昨年末に、アジアの国に小学生の子供を残し、出稼ぎで日本に来て働く夫婦のドキュメンタリー番組がテレビで放送されていた。

 

世界的に拡大した感染症の影響で「訪日観光客」や「インバウンド」という言葉がすっかり聞かれなくなったその陰で、帰国もままならず、けっして恵まれているとは言えない環境で働いている外国人がいる。

 

 

「日本には家族を引き裂く魔力がある」

 

 

安全で清潔な街、健康的で見た目にもきれいな和食、おもてなしに満ちた接客。

日本の魅力を挙げると枚挙にいとまはない。

 

しかし、それらはその魅力を享受できる立場の人のみが感じる肯定的な側面であり、立場が異なれば見方も異なるというもの。

 

出稼ぎにきた若い独身男性と故郷に残した許嫁の関係ならいざ知らず、この親子の間で往年の名曲「木綿のハンカチーフ」が似合わないことを願わずにいられない。